恋を始める、その前に



 これはそこそこいい感じなんじゃ、と思う。
 週に1度とはいえ2人きりで昼食を食べることも半ば習慣のようになってきたし、この前


お昼一緒に食べたり休日に遊んだりするようになって、ちょっとなんか良い感じっぽい。
そんで学校で偶々校舎の中にいるヒロインと部活中かなんかで先輩と一緒な財前が目が合って、財前がども、みたいな感じでお辞儀して、ヒロインは「えっ、私?私……だよね?いいんだよね?今のって私に向けてだよね?」みたいな感じでちょっとキョドりつつもえへ、って感じではにかみながら小さく手を振り返して、ソレを見た白石とか謙也とかに「財前、瀬野さんと知り合いなん?」「へー、やるやんか財前。なんや瀬野さんガード固いて聞いとったけど」「せやなぁ、結構人気あんねんけどな」とか聞かされてちょっと焦る。えっ、噂話とか基本聞かないからそんなん知らない。
そんで財前は後日ヒロインが告られてるところに遭遇してしまって、ちょっと見てたら「付き合おうてる人とかいてるんすか?」「えっ、いや!全然!」「せやったら、試しでも何でもいいんで俺と……」みたいな感じで話が進みそうになって、オイオイちょっと待てと慌てて出て行く。「全然て、全然ではないやろ。俺と先輩、微妙な感じですやん。そら、付き合うてはないけど。はっきりとは」「えっ、嘘。そうなの。あ、でもそう言えばそうかも!」みたいな感じで、財前は心の中で「先輩、ちゃいますわ。この人ガード固いとか、そんなん嘘や。ボケとるから、並のアプローチやと気付かんとスルーしよんねん……!」てなる。
きちんと好きって言わないとねって話。

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