Perfume

君の幸福を願う幸せ

懺悔しましょう、潔く



 神様、懺悔致します。

 私の願った、というかちょっと軽い気持ちで思ったこと。あれは嘘というかただの戯言というか、単なる冗談だったんです。
 ごめんなさい。とりあえずごめんなさい。許して下さい。勘弁して下さい。
 もう真剣に心を籠めて謝罪するので本当にどうにかしてほしいですこの状況。どういうことなの?意味が分からなすぎて逆に冷静になるって。


 私、何で急に幼児になんかなっちゃってんの。





 私もこんなことになる前は、普通に社会に出て働く大人の一人だった。
 とはいっても勤めている会社に入社してから三年くらいしか経っていないまだまだひよっこな平社員で、でも下にどんどん新しい子達が入ってきてもいるから新人だという甘えも許されなくなってきていて。結構しんどい時期であることは確かだったかなーと思う。

 会社に入る前は普通に大学生やってたけど、勉強よりも専らサークルの仲間やらクラスの友達やらと遊んでる時間の方が多くって、本当に社会に出る前のモラトリアム期間って感じだった。周りに居たのも「まだ仕事したくなーい!遊んでたーい!」なんて子ばっかりで、そんなもんなんだと思ってたというか。
 でもいざ社会に出て暫く経つと「もっと色々検定受けたり、資格取ったりしとくんだった」「あの時の講義、ちゃんと勉強し直したいな」なんて思う機会がたくさんあった。入社したての時はまず色々と資格を取るように言われたし、「大学で何を勉強してたんだか」って感じの目を向けられることもあったし。
 それから上司の言葉もあって資格の勉強を始めたりもしたけど、毎日の仕事がなくなる訳じゃないからその合間を縫っての勉強となるとやっぱり精神的にも体力的にもかなりキツイものがあって。今更ながらに学生の頃に教授が言っていた『勉強にだけ集中していられるという学生の有難み』というものを実感していたところだった。

 それで……確かに、確かにね?正直言ってちょーっと思ったこともありますよ。『やり直せたら』って。そりゃ生きてれば過去の汚点だとかやり残したことだとか、それなりに色々後悔することもありますし。その時まさに『学生時代にちゃんと勉強しとくんだった!』って後悔してるところだったわけだし。
 それに最近は、何だか色々なことに疲れていた。家族仲は元々そんなに良い方じゃなくて、一人暮らしをするようになった今では両親とも疎遠。社会に出てからは学生時代の友人達も色々な地域に散り散りになってしまって、今いる会社の友人は仕事上の付き合いの域を出ないような人ばかり。一応学生時代から続いていた恋人との関係も、お互い忙しいのもあってほとんど自然消滅寸前だった。なんかもう、色んなことが上手くいってない。つまらない。色々やり直したい。

 でも、そういうのって誰だって、生きてるうちに何回かは思うもんなんじゃないの?





 だからさ、神様。
 私特別神様とか信じてたわけじゃないし、この突拍子もない状況を引き起こしたのが神様なのかなんてこと分かんないけど、他の誰に呼び掛けたらいいのかも分かんないからとりあえず貴方に言っておきますよ。


 「あーあ、人生やり直したい」なんて寂しい独り言、ちょっとした現実逃避に決まってるでしょうが!!