鳳兄妹の日常


鳳家の日常・1  (5歳&6歳)



「ひっく」
「…………」
「……ひっく」
「……、だいじょうぶ?」
「ん?なひっ、……が?」
「しゃっくり、止まらないの?」
「あーうん、だいじょぶだよ。……ひっく」
「………………たいへんだよ、
「へ?なにがっ、ひぃっく」
「しゃっくりが100回つづくと死んじゃうんだよ!!!」
「あぁなんだ。それなら、ひっ、だいじょぶだよ」
「だだだだ、だいじょうぶじゃないよ!!も、もしが死んじゃったりしたら、ぼく、ぼく……!!!」
「ひっく、へいきだよちょたくん。それめいし……」
「そうだ!きゅ、きゅうきゅうしゃ……!!きゅうきゅうしゃよばなくちゃー!!!」
「ええええ!!?」
「119ばん119ばん……!!」
「え、ちょ、まっ!!」
「もしもし、すみません!いもうとのおうかくまくがけいれんしつづけていて止まらないんです!!!」
「ちょ、しゃっくりがおうかくまくのけいれんだってしってるのに、なんでそんなめいしんしんじちゃってるのー!!?」


 驚いたせいか、無事止まりました。




鳳家の日常・2  (3歳&4歳)



「ううう、うあぁーー!!!」
、ちょ、ちょっと落ち着きなさい」
「おお、おちちゅけるかぁ!もう、いっしょには、はいんないって、いったれしょー!!」
「そ、そんなにお父さんと一緒は嫌なのか……」
「おふろくりゃいじぶんではいれるよ!おとーしゃんといっしょじゃなくてもらいじょぶ!」
「でも、やっぱりまだ1人だと危ないしね……」
「だったらおかーしゃんとはいるからへいきだよ!」
「ど、どうしてなんだ!?父親離れするにはいくらなんでもまだ早くないか!?お父さんとも一緒に……」
「うあーん、ちょたくーーん!!」

「おとうさんっ、がいやがってるじゃないかぁっ!!」

「う゛、っ……ぇ゛ほっ……!!ちょ、長太郎……鳩尾は…………!!」


 父、息子の渾身のタックルにあえなく撃沈。娘は母と共に無事入浴を済ませる。
 娘が3歳になってから、もう4度目のことである。




(体は幼児、心は思春期。取り扱いには要注意)




家族旅行での一幕  (7歳&8歳)



 びゅう、と音を立てて吹きつけてくる風に思わず身震いする。

、大丈夫?」
「うん、平気」

 もう中に入ろうか?と心配そうに眉を寄せるちょた君に笑ってそう返し、またすぐに夜景に目を向ける。
 眼下に広がる海には街の灯りを映っていて、何処までもネオンが続いているみたいだった。
 音がしそうなほどに煌いているソレは夜空の星を地上に鏤めたようで、思わず感嘆してしまう。

「きれーだねぇ……」
「そうだね。夜空がおちてきたみたいだ」

 自分考えたことと同じような感想に、思わずまた笑みが零れる。
 美味しい食事と、綺麗な夜景。
 お父さんがホテルは期待してていいよと言うわけだ。素晴らしいの一言に尽きる。

「ホント、お星様みたいだよね」
「うん。あれだったら、手がとどきそう」

 取れるかな、とちょた君が下に向かって手を伸ばし始めた。

「ちょた君なら、せが大きいから上のお星さまもとれそうだね」
「そうかな」

 照れたように笑いながら、手を引っ込める。

「もしとれたら」
「うん?」
「もしもいつか星がとれたら、にあげるからね」

 小指を絡めて約束だと笑うちょた君の顔は、きらきらとネオンに輝いている。
 今回の旅行での一番のお土産は、彼とのこの可愛らしい約束だろう。
 ああ、お星様。うちの兄ってホント可愛いです。